新刊著書の紹介
この度、母校の第11代校長で我が国の生物生態研究における権威者であられます御勢久右衛門先生(理学博士)が新刊書を編著されました。
『大和吉野川の自然学』トンボ出版(B5版208頁) |
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この書物は大台ケ原を源流とする吉野川・紀ノ川生態系の半世紀にわたる記録を纏めたもので,自然環境、水質、植物相、底生動物、魚類相の変遷,それに流域の民俗などについても記述され興味深い内容になっています。御勢先生は1965年から8年間にわり、日本の代表河川に指定された吉野川で実施したIBP-PF(国際生物学事業計画)の流水生物群集の生物生産力の研究は国際的にも高く評価され、特記すべき多くの研究業績を残されました。その後、マレーシア,インドネシア,タイ,中国,台湾等主に東南アジアを中心に生物生態の調査・研究に大きな成果をあげておられます。
また、これまでにも『河川の生態学』/築地書館、『和州吉野郡群山記』/東海大学出版会等約20冊の研究書、50余の市町村史に生物関係記事を掲載、論文集に至っては既に第14巻を発巻しておられることは衆知のとおりです。 |
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これらの書物は数々の大学で教科書としても多く採用されており、また,長年にわたる広範囲な探検や踏査で培われた行動力や豊富な経験は、素晴らしい登山家でもあり、民俗学者でもあると思えました。近年では生物生態を経済学的視点から捉えられ、その理論も確立されておられます。
先生は今年“喜寿”を迎えられ、益々お元気な様子で嬉しいかぎりです。熊野古道が世界文化遺産に指定されるまでに、『和州吉野郡群山記』を是非ご一読下さることをお奨めします。そして指定された暁には先生とご一緒に在校生も交えて縦走できればと願う次第です。
2003.02.19 吉野正史(高校11回卆) |